“日本一のブランド米”の名に恥じない美味い米を作りたい。収量を追わない栽培手法、植物系発酵肥料等の有機質肥料を使用、極めて丁寧な水管理など、研究を重ねる生産者さんのお米。しっかり弾力感、旨みと力強さを感じる粘り感は逸品です。
生産地:新潟県南魚沼市 個人生産者さんの米
6月は田植え後。南魚沼の風景 2021.6.8.
「メリットが出にくいので、やめました」
定点観測ポイントから、よく見ると昨年と景色が違います。
一定間隔で苗の植え付けを抜く栽培方法(条抜き)をやめました。
本来、条抜きは若干の収量減を見込んでも、空気や水の流れなど栽培条件を良くするのが目的です。しかしながら、分茎(茎わかれ)を控えて、稲一株の穂数を少なくする栽培と併用すると、あまりにも収穫量が少なくなってしまいます。
分茎を控えたほうが全体でのメリットが大きい様子です。
また、条抜きは、日照が直接水面に当たり圃場の水温が上昇することで高温障害の心配もあることから、今年は比較データをとります。
「ココが新たな田んぼ」
山あいを北に5分ほど。再び広がる田園風景は、今年から耕作する田んぼ。 稲作を引退する生産者さんから田んぼを引き継ぎました。
若手でやる気があり、技量も確か。信頼関係もあるから米作りのバトンを渡されたのでしょう。
「朝晩、大合唱ですよ」
近づけばオタマジャクシが元気よく泳ぎ回る。
元肥が適正で栄養過多でない。農薬類の使用も少ない証し。
オタマジャクシはヘビ・鳥など天敵が多く全てがカエルになるのではない。
子がいるなら、親はどこに。「カエルさんは朝と晩に鳴いてますよ。」
「水不足の心配はありません」
平場の田んぼの用水は、すぐそばを流れる魚野川ではなく清津川の取水口から用水トンネルを経由して導かれる。山間部も、背後に山深い豪雪地帯を控えるため、用水を欠くことが無い。稲作の社会インフラが整っています。
「一昨年、整備されました」
田んぼの端にある黒い部品は、用水の自動給水バルブ。内部のフロートが水面に合わせ上下し、用水路からの水栓が開閉されます。
基本的な作業は軽減されますが、水をためる・かけ流す・深水・浅水・水を落とす・など、天候や稲の生育に合わせた調整は変わることなく手をかけます。
「ちょくちょく来てくださいね」
後方は石打丸山スキー場。この地の産業は、スキー場などの観光と米作り農業。外部の方が訪れてくれるから成り立つ地場産業の地域性ゆえに、コロナ禍の昨今ながら快く訪問を受け入れてくださいました。ありがとうございます。
美味しいお米が穫れますように。
出穂「しゅっすい」と呼びます。
一見すると葉っぱばかりの苗。その中ほどに稲穂になる幼穂(ようすい)が形成されます。
7月中旬。成長と共に、お米になる穂が現れました。
梅雨明けの時期に出穂し、日照が増え平均気温が上がる。これが、美味しいお米になる条件の一つです。
ドローンが活躍中
薬剤散布の多くはタンクと動力を背負い、田んぼの中を歩いての作業。
そこにドローンを活用することで、大幅な作業効率の向上になります。時間は短縮でき楽になるのですが、本来人の手が必要な作業は数多くあります。
ドローンで散布するのは液肥(=追肥)。病害虫の被害にあわないよう稲の生育を促します。
もちろん、ドローンの操作は講習を受け、練習を繰り返したのち。他の方の田んぼまで散布しないのが、お米生産者さんのマナー。
稲刈り、始まりました。
積算温度とは、農産物が成長を始める時点からの、一日の平均気温を積み重ね合計した値。
地域やお米の品種によって、稲刈りに適した値が統計的に示されています。
こういった積算温度と稲作の経験値を基に判断し、9月中旬より稲刈りが始まります。
魚野川右岸の平場から始まり、標高の高い山沿いが後半になります。
多くの田んぼで、適期に稲刈りができる仕組みなのですね。